未成年の子供でも相続人になるのですか?
昨日のご相談で未成年者は相続人になりますか。というご相談を受けました。未成年の相続について解説します。
未成年でも相続人になる
未成年の子であっても相続人になります(民法3条1項)
未成年が法律行為をするには
未成年が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければなりません。未成年者の法定代理人は一般的にその未成年の子の親です。ですから通常の法律行為は親の同意を得て行われます。
相続は親の同意ではダメ
未成年の子とその親が相続人になる場合(今回の相談者も)は未成年の子の代理人にはなれません。なぜかと言えば、上記の場合の相続において親と子が遺産の取分を協議するわけです。その協議において親が子を代理していると子にとって損する可能性が極めて高くなります。これを利益相反といいます。
従って、親権をおこなう親と子の相続人ついては利益相反になるため、その子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てなければなりません。特別代理人は弁護士等の士業が選任される場合がほとんどです。
特別代理人と他の相続人との間で遺産分割協議をすることになります。また、通常、特別代理人は子の利益を守るため法定相続分を下回る遺産分割には合意しません。親からすれば子を扶養しているのだから、子の取分を少なくし自分の分を多くしたいと考えますが、それは基本的にできないと考えてください。
特別代理人の選任の申立て方法
親権者や利害関係人が、子の住所地の家庭裁判所に特別代理人の選任の申立てを行います。子が2人いる場合は、それぞれに申立てを行います。
財産が少額で特別代理人を立てるまでもない?
財産額が少なく、相続人間での争いもない場合、遺産分割のためにわざわざ特別代理人を選任しなくてもよいのではと思う人も多いでしょう。
しかし、未成年の子がいるにもかかわらず、特別代理人を選任しないで遺産分割協議を成立させた場合、無権代理行為として、未成年の子が成人に達した後に追認しない限りは無効となります。後々紛争にならないよう法定の手続きをきちんと行っておくことが重要です。
また、銀行手続きや不動産登記において特別代理人の選任されていない遺産分割協議書では、手続きがされず、特別代理人を選任するよう差し戻されます。