相談事例 父と不仲で?遺言で全て次男にいってしまう、私は一銭ももらえないのですか?
相談者:私は長年父と不仲で長いこと会っていません。父は遺言で全ての財産を弟に相続させる遺言を作成したと母から聞きました。私は若いころに父に対して侮辱的な発言や暴行をしたことがあり、それについては反省しています。
しかし、私がそのような行動を起こした原因は、両親の不仲や勉強ができるかどうかという価値観のみで子供を判断し干渉していたことが原因です。そのこともあり私としても、父に謝罪したことはありません。その反面、弟は秀才で父の理想の子供のようでお気に入りです。私は高校卒業後就職しましたが、弟は私立の大学院まで親のお金で進学し卒業しました。遺産までも全て弟にいくのは納得できません。どうにかならないのでしょうか?
実は親と不仲の家族は意外と多くあります。その中で子に対して遺言で贔屓の子に対しては財産を多く、そうでない子には少なくする親もいます。このような遺言を残す事情はそれぞれあるのは分かります。しかし、後の兄弟間の相続争いに発展する可能性は高くなります。
今回の相談者の場合、若いころの一時期に暴言や暴行があったものの成人してからはそのような行為はなく、相続欠格や廃除にはあたらないと思います。遺言で全ての財産を弟にという遺言はその後新たな遺言書を作成しない限りは有効になります。
方法1
父が亡くなった後、遺言が上記の通りであれば全ての財産は弟に行きますが、相談者は遺留分を請求することができます。
遺留分とは、被相続人(亡くなった人)の遺産のうち、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子、親など)に対して保障される、最低限の遺産取得分のことです。遺留分は、遺言によっても奪うことができない権利であり、遺留分を侵害された場合には、遺贈や贈与を受けた人に対して金銭の支払いを請求することができます。遺留分の割合は、法定相続分の半分(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)と定められており、相続財産の総額と相続人の組み合わせによって計算されます。
相談者の遺留分は相続財産の1/8は遺留分として弟に請求することができます。特に裁判等は必要なく弟に対して遺留分を請求すれば、金銭債権として成立します。
方法2
父に新たな遺言を書いてもらう又は遺言を取消してもらう。
この方法は一見不可能のように感じますが、やり方によっては成功することがあります。今回の相談者の場合、確かに父との価値観の相違から不仲のようですが、とりたてて相談者のみに非があるとは思えません。ですが、相談者から歩み寄らなければ、可能性はゼロのままでしょう。そこで、手紙で今までの想いを正直に書き、最後に謝罪の言葉を添えます。直接会って謝罪することは難しくても手紙なら何とかなります。
当事務所では上記のような手紙を書くことによって、遺言を取消てもらうことに成功したことがあります。全ての事例で成功するとは限りませんが、おこなってみる価値はあります。
他にもここでは書けない方法をアドバイスさせていただきました。今回のご相談者様とは継続的にお会いすることになりましたので、今後どのうようになるか見守っていきたいと思います。