相談事例 すべての財産を愛人に持っていかれる
今回ご相談者は亡くなられたご主人の奥様です。ご主人とは結婚50年をこえますが、ご主人は女癖が悪く若いころから浮気を繰り返したようです。亡くなられる時も浮気相手の居宅にて発見されようです。奥様はご主人の浮気に怒りを持っていたようですが、ご主人と別れると経済的自立が難しかったようで我慢し続けていたとのことです。
ご主人が亡くなられた後、浮気相手から奥様へ遺言書が郵送で送られてきました。その遺言書にはすべての財産は浮気相手に遺贈すると書かれていました。奥様は憤慨し、本当にこの遺言どおりに財産は浮気相手のものになってしまうのかご相談に来られました。
遺言書は本当に本人のものか
自筆証書遺言の場合本人の直筆の必要があります。また、法定の要式によらなければ無効の可能性もあります。まず本人の直筆なのか確認しましょう。今回のようなケースの場合、浮気相手の女性もご主人の経済力によって生活されていたようですので、法律上な夫婦関係が無い浮気相手としては今後の生活上、何らかの財産を必要として偽造することも可能性としてあります。
公序良俗に反する遺言
遺言者は財産を自由に処分できる。ただし公序良俗に反する場合は無効となります。昭和58年7.20判例では愛人関係に対する遺贈は公序良俗に反し無効とされています。しかし昭和61年11.20判例では遺産の3分の1を不倫相手に遺贈を有効としています。他の判例でも愛人に生活上最低限度の遺贈については認められています。妻や子の遺留分を侵害していない事また今後の生活に支障ない範囲で愛人に遺贈は認められています。しかしその遺贈の額など個別に判断される為、明確には判断できません。
今回のケースは全ての財産を浮気相手に遺贈とありますので、まず認められないものと思われます。しかし状況によっては一部の遺贈は認められる可能性があります。
いずれにしても奥様と浮気相手が話し合いをしても良い結果が得られるようにも思えないので、まずは弁護士に間に入ってもらうことをお勧めしました。
それでも難しい場合は調停、審判になりますとお伝えしました。