前妻の子に遺産を渡したくない
たまにある質問の中で前妻の子と折り合いが悪く相続財産を渡したくないというものです。
相談者60代男性 離婚後、前妻が子供を引取るとその子供は前妻の味方となり、私に対して拒絶するようになり長い間疎遠の状態です。私と離婚後1年ほどで別の男性と結婚し、前妻との子も再婚男性が扶養しました。私としては現在の子供たちの(2人)方に思い入れが強く出来るならば前妻の子には相続をなるべく少なくしたいと考えています。
相談者の推定相続人は現在の妻、2人の子、前妻の子1人の合計4人です。法定相続分は
妻1/2
2人の子 各1/6
前妻の子 1/6
前妻の子の法定相続分は1/6となり相談者が死亡後相続放棄をしなければ、1/6の法定相続分となります。遺産分割協議で相続人間で合意すればどのような相続割合で合意しても問題ありませんが、それでは不確定要素が高いうえに死後にどのようになるか未知のものです。
仮に生前に前妻の子にたいして相続放棄や、遺産分割で財産を取得しないで合意してほしいと約束しても法律上無効になります。
法律的な対策として一番有効なのは、遺言書の作成です。遺言書の作で妻と二人の子のみに相続させる遺言を作成することです。しかし前妻の子には遺留分が1/12ありこの部分については請求があれば他の相続人の金銭債務となります。
今回の相談者はできる限り前妻の子の相続分を少なくしたいとの希望でしたので、遺留分は相続させてもよいのではと提案しました。
上記をふまえての想定とご提案
- 上記の通り前妻の子の相続分ゼロの状態の遺言を作成
遺留分侵害額請求権を行使される可能性はあるが、請求されなければ相談者の一番満足できる状態になります。デメリットとして遺留分を請求されると残された相続人への金銭債権となることです。 - 遺留分を相続させる遺言書を作成する。
遺留分でもめるの可能性があるのを回避するために事前に遺留分相当額を前妻の子に相続させる遺言書を作成します。これにより遺留分請求はされませんし、紛争の可能性もすくないと思います。
上記以外に遺留分放棄の要請も可能ですが、現状前妻との子と交流がなく裁判所での遺留分放棄手続きに賛同してくれるとは思えませんので除外しました。