犬を飼っているが死後誰かに託したい
高齢でペットを飼っている場合、自身の余命とペットの余命が気になるところです。特に単身で住まわれているかたは、もし自分が亡くなったあとそのペットの生活が心配になります。コロナの流行後、急速にペット需要が高まり実際にペットを購入した方も増えました。
法律上ペットは物である
法律上ペットは人間のように基本的人権が保障されていません。法律上モノとして扱われていますから、最悪飼い主が亡くなりだれも引き取り手がなければ、殺処分となる可能性もあります。そのような事態にならないためには生前に対策する必要があります。
子や孫など親族にお願いする。最も身近な存在である子や孫にご自身のペットを託すことはできるか相談しましょう。喜んで引き受けてくれる場合は問題ありませんが、念のため引き受けてくれる親族に負担遺言をすることも検討してみてはいかがでしょうか。
負担を付けて財産をあげる
遺言では、自分が亡くなった後に残る財産をあげることだけでなく、あわせて、何かをすることの依頼(一定の法律上の義務を負担すること)を定めることが可能です。こうした負担を付けた遺言を「負担付遺贈」「負担付き相続させる遺言」といいます。
どちらも基本的な仕組みは変わりません。
遺言では財産をあげることが中心的な内容になりますが、誰かの生活の面倒を看ることの依頼は、頼まれる側にとっては重大な負担になりますので、普通に多くの遺言で定められる内容であるとは言えません。
負担付きの遺言は、遺言をするときの家族の生活状況、当事者の希望なども踏まえて、実現の可能性も判断して定める内容になります。
負担付きの遺言としてよく見られる内容として「あなたに財産を多くあげるから、だれだれの面倒をみてください。」というものがあります。
高齢や精神上に障害のあることが理由で、一人で生活することが難しい相続人がいるときに、遺言者は、その相続人の将来を心配して負担付き遺言を考えることがあります。そうした遺言をすることで、遺言者は、自分の死後における心配を軽減させられます。
その一方で、負担付きの遺言で財産をもらう側は、遺言で定められた負担を履行する義務を負うことになります。
「負担<利益」が前提となります。
負担付遺贈では、負担をする前提として、それに対応する遺贈があります。つまり、何らの財産をあげることなく、負担だけを課すことはできません。
また、遺贈によって受ける利益を超えない範囲内で負担を負うことになります。このことは、負担付きの相続させる遺言でも同様です。
負担が守られていないとき
負担付きの遺贈を受けた者が遺言で定める負担を履行しないときは、相続人、遺言執行者から負担を履行することを期間を定めて遺贈を受けた者へ請求することができます。
それでも負担が履がされないときは、家庭裁判所に対し、その遺言を取り消すことを請求できます。家庭裁判所が審判により判断します。
もし、家庭裁判所で遺贈が取り消されると、負担付き遺贈の対象とした財産は、相続人に帰属することになります。
これは、負担付きの相続させる遺言でも同じであるとする考えがあります。
以上のようにご自身の愛するペットを守るために上記のような対策を検討することをおすすめいたします。