自宅の相続税を減らしたい

2023.03.20
相続

居住用不動産には税制上優遇措置が講じられています。各状況により優遇措置が適用できるか異なりますが、税負担を軽減させることができるか検討する必要があります。

配偶者へ2000万円贈与

配偶者間で2,000万円の贈与をする場合、通常695万円もの贈与税が発生します。しかし、婚姻期間が20年以上の夫婦間で住宅または住宅を取得するための資金の贈与があった場合に、2,000万円まで贈与税がかからない制度(配偶者控除)です。この特例は一生に一度しか適用を受けることができません配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に適用される特例です。基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます。

例えば夫名義の自宅不動産を妻に贈与する場合、その不動産の評価額が2110万円以下であれば、本特例の適用により贈与税がかからずに居住用不動産を妻に贈与することができます。また、妻に贈与することにより、夫の相続財産が減少し将来の相続税負担が減少します。

ただしその自宅不動産が、小規模宅地の減額特例に適用され相続税の負担がない場合には、わざわざ生前に贈与する必要がないかもしれません。逆に生前に贈与することによって、不動産取得税、登録免許税が相続に比べて高く負担することになります。相続の場合は、登録免許税は0.4%で、不動産取得税は非課税です。一方、贈与の場合は、登録免許税は2%で、不動産取得税は1.5%~4%です

小規模宅地等の減額特例を使う

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たす場合には、80%又は50%まで評価額を減額する特例です。この制度により、相続税が大幅に減額されることがあります。相続開始前にその自宅不動産が小規模宅地の減税特例に適用可能か検討し又、可能となるように整備することが重要です。

自宅不動産の場合その宅地等の相続税の課税価格を330㎡を80%減額することができ相続税の負担を大幅に減額することができます。

また、似た特例として「家なき子特例」というものがあります。
家なき子特例とは、小規模宅地等の特例の一種で、土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。下記の要件を全て満たす必要があります。

  1. 亡くなられた方に配偶者や同居の親族がいないこと
  2. 亡くなる前3年以内に持ち家に住んだことがないこと※日本国内の家屋に限る
  3. 亡くなる前3年以内に3親等以内の親族の家に住んでいないこと※日本国内の家屋に限
  4. 亡くなる前3年以内に特別な関係の法人が所有する家に住んでいないこと※日本国内の家屋に限る
  5. 相続開始時、住んでいる家を過去に所有したことがないこと※日本国内だけではなく国外の家屋も対象
  6. 相続開始から10ヶ月以内に相続した土地を売却しないこと

簡単に言えば家の無い子に対しても8割減額を使用して相続させることが可能になる制度です。例えば夫から妻へ小規模宅地等の減額特例を使用して相続、その後妻から子へ家なき子特例を使用して相続ということが可能となります。

このように自宅不動産は大きく減税することが可能となります。ただし相続税の課税価格を大幅に減額できますが、適用要件が多く煩雑なため、確実に適用できるよう慎重に検討する必要があります。

生前に自宅を売却する

居住す動産を譲渡した時最高3000万円の控除ができる特例があります。

居住用財産の3,000万円控除とは、自宅を売却したときに出た利益(譲渡所得)から3,000万円を控除できる減税措置です。適用要件を満たすことで、3000万円までの譲渡所得税が控除される制度です。

自宅の譲渡益が3000万円以下であれば譲渡所得税の負担がなく、譲渡対価を得ることができます。

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