相続した農地を売りたい、宅地にしたい 農地法解説

2023.03.20
コラム

相続した農地を売りたい又は宅地や駐車場などにしたい。という要望をよく受けます。しかし農地法という農地等の扱いを規制している法律があり、簡単に持ち主の好きなように扱えないようになっています。

そこでご自身の農地はどのような場所でどの規制にあたるのか下記を参照していただけたらと思います。

農地とは

耕作(土地に労費を加え、肥培管理をおこなって作物を栽培すること)を目的として使用される土地のことです。

採草放牧地とは

採草又は家畜の放牧の目的に供される土地のことです。

農地の売買には規制あり

農地法3条

農地の権利取得の規制
農家以外の者が農地等の権利を取得することを規制する法律、限りある農地を効率的に活用するための法律です。そのため権利取得や賃借権、使用貸借権(無償で貸し借りすること)の設定には農業委員会の許可を必要とします。
しかし相続の場合は許可不要で届出のみとなります。

では許可を得るにはどうしたらよいのでしょうか?

農地法が定める要件

  1. 全部耕作要件
    農地取得後に農地の全てを効率的に利用して耕作等を行うこと。
  2. 常時従事要件
    原則として年間150日以上の農作業に従事すること
  3. 下限面積要件(令和5年4月1日より廃止)
    取得後経営面積が、50アール又は農業委員会の定める下限面積を超えること。
    注意:令和5年4月1日から法律改正により、農地法第3条許可の面積要件が廃止されま す。このことにより農地の売買・貸借をする場合、譲受人(借受人)の50アール以上の耕作面積要件が不要となります。
  4. 地域調和要件
    周辺農地等の効率的・総合的利用に支障がないこと。
  5. 申請が法人の場合は、常時従事要件に代えて、農地所有適格法人の要件を満たさなければならない。(詳細割愛)
  6. 農地所有適格法人要件を満たさない法人(割愛)

賃貸借に関する規制

農地の賃貸借において期間の定めのあるものについては、当事者がその期間満了前一定期間に相手方に対して更新をしない旨の通知をしない時は、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借したものとみなされます。これを法定更新と言います。
法定更新後は期間の定めのない賃貸借となります。

賃貸借の解除、解約、更新拒絶の通知は都道府県知事の許可を受けなければならない。許可が通るには借主の信義違反等の要件を満たす必要があります。

ただし、以下に掲げる案件に該当するなど、一定の場合には許可がなくても農業委員会にその旨の通知をするだけで契約の解除ができますので、まずはご相談下さい。 

●契約の解除が当事者双方の合意の上でなされたもの(いわゆる合意解約)であって、以下の条件をすべて満たすもの

①賃貸借している農地等の引渡しの6か月前までに成立した合意である

②その旨が書面で明らかとなっている

※合意解約であっても、上記の①、②の条件を満たさないものは通常通り農業委員会の許可を必要としますので、ご注意下さい。

●10年以上の賃貸借期間を設定した契約について、期間が満了した後はそれ以上の契約の更新をしない旨の通知を相手方に対してする場合

→この場合は、農業委員会に所定の届出書を提出し、その受理通知を受ければ賃貸借期間の満了をもって契約が解除されます。

※賃貸借期間が10年未満のものについて上記の通知をする場合は、通常通り農業委員会の許可を必要としますので、ご注意下さい。

農地等の転用規制(4条5条)

転用とは

農地を農地以外のものにすることです。例えば宅地や駐車場にすることなどです。農地法は優良農地を確保するため、転用を農業の利用に支障が少ない農地に誘導するとともに、投機目的、資産保有目的での農地の取得を規制しており、次の場合、転用許可を必要としています。

  • 農地を所有者、借権者が転用する場合(4条)【持っている人が転用するとき】
  • 農地等の転用の為に所有権の取得や賃借権、使用貸借権等の使用収益権を設定する場合(5条)【買って転用するとき】

農地法の許可基準

農地転用は立地基準一般基準を満たさなければ許可されません。

立地基準とはその農地の営農条件、周辺の市街地化の状況からみて5つに区分し判断します。 

区分営農条件、市街地化の状況許可の方針 
農用地区域内農地市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地原則不許可
甲種農地市街化調整区域内にある、土地改良事業等の対象となった農地で事業完了後8年以内の農地又は10ha以上の一団の農地で特に良好な営農条件を備えている農地原則不許可
第1種農地10ha以上の一団の農地、土地改良事業の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地原則不許可
第2種農地鉄道の駅が500m以内にある等市街地化が見込まれる農地及びいずれの区分にも該当しない農地周辺の他の土地に立地することでは目的を達成することができない場合は許可
第3種農地鉄道の駅が300m以内にある等市街地の区域又は市街化の傾向が著しい区域にある農地原則許可

一般基準とは

転用の妨げとなる権利者の同意がない場合、他法令の許可見込みがない場合、転用に伴い周辺農地への被害のおそれがある場合、資力・信用があると認められない場合、転用面積が目的からみて過大と認められる場合、許可後速やかに転用目的に供する見込みがない場合、工場や住宅等の用に供される土地の造成のみを目的とする転用(非線引き都市計画区域の用途地域を除く)等の場合は立地基準で許可出来る場合でも許可されません。

以上みて頂くとわかりますが、非常に厳しい規制になっており、一般的な農地のほとんどは転用することは難しいものとなっています。

市街化区域内の農地は届出でOK

都市計画法上の市街化区域の農地を転用する場合は、農業委員会への届出のみで転用可能です。

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