同居していた母が亡くなりました相続人にである弟とは疎遠でどのように協議すればよいか
相談者は男性60代で独身、被相続人である母と同居していました。母は亡くなる前日まで元気で特別介護を要する状態にありませんでした。
同居の子であある長男が母の面倒や葬儀を執り行い必要な手続きをなして弟には感謝してもらいという気持ちがあったようです。
しかし非同居の者からすると母の財産を独り占めするのではないか等疑われることがあります。特に葬儀が終わったあと何か月も連絡がないとこのまま母の財産は長男に行って今うのではと疑いを募らせます。ですからなるべく早く、被相続人の財産の内訳を知らせるのが良いと思います。
遺産目録の作成
遺産目録作成には主に不動産、預貯金、株式等があります。
不動産については全部事項証明書と固定資産税評価証明書と取得しておくと良いでしょう。全部事項証明書は法務局で取得し、固定資産税評価証明書は不動産のある市区町村の役所にて発行できます。特に固定資産税評価証明書は固定資産税を課税するための不動産の評価額が記載されています。実際に売買される評価額ではありませんが、おおむね時価の7割とされています。不動産の評価には複数の評価基準がありますが一応の目安として活用できます。
預貯金については、死亡前日前後まで記帳された通帳の写しや死亡日現在の残高証明書を添付します。また、死亡後に葬儀等で引き出し等がある場合はその旨の説明ができるように領収書とうも添付しましょう。
現金については財布の中身がゼロというのは考えられませんので、財布やタンス預金なども正確に記載するとより相続人の方から信頼されるものと思います。
株式等については金融機関から届いている取引明細書を添付します。それらが見つからない場合は証券会社等に死亡時の保有証券の明細を発行してもらいます。
動産関係は主に貴金属、骨とう品、自動車等ですが基本的に評価額は分からないと思いますので評価額は記載せず動産のリストを記載していきます。
借金等の負債がある場合はその金額を記載してください。また、借金がありそうだがどこから借入しているか分からない場合どこから借金をしたか、いくら借金が残っているかは、信用情報センターに情報の開示を求めることで調べることが可能です。 信用情報センターには、CIC、JICC、全国銀行協会の3つがあります。
以上の遺産目録が完成したら、遅くとも3か月以内に遺産目録を提示して話し合いの場を設けることをお勧めします。仮に多額の借金があった場合相続放棄ができる熟慮期間は3か月となっておりできる限り早めの対応が良いと思います。
また、相続税が発生する財産額であれば納税申告期限は10ヶ月です。
通夜や葬儀の席で相続の話を切り出すのはいささか非常識ですが、かといっていつまでも相続を待たせるのもよくありません。適切なタイミングを見計らい協議をすることを求められます。
相続の話し合いで重要なのはできる限り、法定相続分どおりに分配することです。長男だからなどの理由で法定相続分を超えて相続するのは公平性の観点から紛争になる可能性が高まります。
また、最後に親を看取った場合多少なりその世話や介護など寄与した部分があると思います。その場合、介護した日、時間など詳細に説明できなければ他の相続人を納得させることはできません。また裁判においても立証責任があるのは寄与を主張する側ですから、証明できる記録がなければなりません。
以上をふまえてなるべく早めの対応を心掛け、万一協議がまとまらない場合は弁護士に相談することをお勧めします。