お葬式の代金は誰が払うのですか?
昨日いただいた質問でお葬式の費用は誰が払うのか。というご質問を受けましたので、解説したいと思います。
答え. 法律上決まっていません
被相続人の葬式費用は通常であればなくなった後に発生します。そのため葬式費用は被相続人の遺産には当たらず相続手続きの対象にはなりません。ですから法律上相続人が法定相続分に従って負担するとはなりません。
誰が支払うべきか
法律上誰が払うか決まっていませんので、だれが払ってもよいのです。過去の裁判事例では、
- 葬儀主催者が払う
- 相続財産から支払う
- 相続人が分担して支払う
- 慣習によって支払うものを決める
など裁判によってさまざまです。
ただ一般的には葬儀主催者が支払うものとされています。ただ私個人としては相続人が分担して支払うのが公平ではないかと思います。いずれにせよ相続人間での話し合いで決めることになります。
香典について
香典は一般的に、葬式費用の負担を軽くするための相互扶助の慣行によるものですから、まずは葬式主催者が香典を葬儀費用の支払いにあてるものと解釈できます。
香典だけでは足らない時は相続財産から支払う、それでも足らない時は共同相続人が各相続分に従って負担するのが一般的です。
葬儀費用は経費になる
葬儀費用は、相続人や包括受遺者が負担した分について、相続財産の額から控除することができます。ただし、控除できるのは通常の葬儀や葬送にかかった費用や遺体や遺骨の運搬費用などで、香典返しや墓地・墓石の購入費用や法事の費用などは控除できません。また、互助会の積立金を葬儀に使った場合も、相続税の控除対象になります。
経費と認められる範囲
相続において葬儀が経費として認められる範囲は、相続人や包括受遺者が負担した葬儀費用のうち、葬儀や葬送に必要なものや遺体や遺骨の処理にかかるものなどです。例えば、以下のような費用が控除対象となります。
- お通夜・告別式の費用
- 葬儀に伴う会食代
- 火葬料・埋葬料・納骨の費用
- お布施
- 遺体の搬送費用
- 死亡診断書の費用
- 心付け
一方、以下のような費用は控除対象になりません²⁴。
- 墓地・墓石代
- 仏壇・仏具代
- 四十九日などの法要に要する費用
- 香典返し
- 解剖費用など、医学上・裁判上の処置に必要な費用
- 遠方の親族の宿泊費
- 喪服代
葬式の規模
葬式の規模は、故人や遺族の希望や予算、参列者の人数などによって異なります。一般的には、以下のような基準があります¹²。
- 一般葬:身内に限らず、故人に縁のある人を広く招待する葬儀。通夜に50~150名、告別式に10~20名ほどの規模が多い。費用は150~200万円程度。
- 家族葬:親しい家族や身内だけに参列を制限する葬儀。参列者は10~30名ほど。費用は50~100万円程度。
- 直葬(火葬式):通夜や告別式を行わず、すぐに火葬に入る葬儀。参列者は10名以下。費用は10~30万円程度。
葬儀の規模によって金額は大きく異なりますが、経費として認められるかどうかは亡くなった方の社会的地位やその状況によって判断され、亡くなられた方にとって過大な葬儀費用については過大な部分につき否認されることがあります。
以上葬儀費用と相続について解説しました。以下まとめます
- 法律上葬儀費用は特に決められていない
- 判例はいろいろな説で分かれている。
- 経費として相続財産から控除できる。
- 経費として認められる範囲を具体的に確認する。
- 過大な葬儀は経費として認められない場合がある。