私の知らない間に遺産分割協議がされ印が押されていました。

2023.05.02
相続

ご相談頂きました。2か月前に父が亡くなり、相続人は私を含めた兄弟姉妹4人です。遺言等無く遺産分割協議によって財産を分ける事になるようですが、私の知らぬ間に遺産分割協議書が兄によって作成され印も押されたものを渡されました。すでに兄大半の財産を相続し、父の自宅だった不動産の登記も自分名義に書き換えたようです。私たち残りの兄弟姉妹はわずかな預金を相続するのみとなっています。どのように訴えればよいですか?

遺産分割協議は全員の合意が必要

被相続人に遺言書等が無い場合は、遺産分割協議によって遺産を分割します。その遺産分割協議は全員の合意が必要です。ですから一人でも反対の者がいる場合はその遺産分割協議は成立しません。

今回のご相談者の場合兄が単独で遺産分割協議書を作成し、印と署名もしています。また、印鑑証明書も場当たり的な理由を付けて、兄弟から集めていたようです。ですから今回のケースは明らかに作成された遺産分割協議書は無効といえます。

登記の修正

無効な遺産分割協議書に基づいて登記した場合には、その後の真実の遺産分割協議書などによって抹消登記、更生登記、真正な登記名義の回復などの登記手続きをすることになります。

家庭裁判所に相談

まずは兄に今回の遺産分割協議は無効であることを文書又は口頭で伝えましょう。それでも効果が無い場合は最寄りの家庭裁判所に相談し、調停又は審判をしてもらうことになります。

遺産分割協議のやりなおしに時効はない

遺産分割を「やりなおしたい」となった場合、すべての相続人の合意があれば、遺産分割の再協議には時効がないためいつでも可能です。

ただし、遺産分割協議時に錯誤、詐欺、強迫などの行為があった場合は、すべての相続人の合意がなくても「取り消し」が主張できます。

取り消しの主張ができる権利は、取り消しができると知ったときから5年が時効です。
したがって、遺産分割協議時に錯誤、詐欺、強迫などの行為があることがわかったときから5年過ぎてしまうと、取り消しの権利が消滅してやり直しの主張はできなくなります。

また、遺産分割の再協議をすることによって、新たに課税が発生したり、再度相続登記の手続きが必要になったりするリスクが考えられるため、再協議にあたっては十分に考慮してから進めるといいでしょう。

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